「TOEICで何点取れたら、どれくらいのことができるんだろう?」
この点がいまいちはっきりしない、知りたい、と思ったことはありませんか?
TOEICの学習を計画的・効率的に進めるためには、今の自分の英語力がどれくらいなのか知ることと、自分が将来どのように英語を使いたいのか具体的なイメージを持ったうえで、目標スコアと達成期限を決めることが大切です。
ここでは、受験者のTOEICスコア分布を見ながら、どれくらいのTOEICスコアで何ができるかを具体的に紹介していきます。
もくじ
「TOEICスコア分布(第234回)」
国際ビジネスコミュニケーション協会資料より筆者作成
各スコアレベルの英語力
390以下(受験者の13.2%が該当)
- 英検3級かそれ以下レベル
- 読んでわからない単語、読めばわかるが聴き取れない単語が多い
- 中学高校レベルの単語学習や文法基礎を一つ一つ丁寧に復習することが必要
このスコアレベルで出来ること
知っている単語や文法があまり多くないので、文章の理解や話の理解が十分にできないレベルです。聞こえた単語や短いセンテンスを手掛かりに理解しようとしますが、意味を取り違えてしまうことが多くあります。
海外旅行で客室乗務員や店員と会話をする場合に、単語や短い文章を並べて意思疎通することができますが、自分の意志を正確に伝えたり、相手の意図を読み取ることが難しいです。
文章の読み取りは、わかりやすい広告や簡単な通知などの内容を読み取れる場合もあります。
395-490(受験者の15.9%)
- 英検3級から準2級程度
- 文章や会話を十分に理解するのには、まだ単語や文法力が足りない
- 単語学習や文法基礎の復習に加えて、TOEIC用の学習が必要
このスコアレベルで出来ること
ある程度、基本的な単語や文法がわかっているレベルですが、まだ文章や会話を理解するのには不足が多いレベルです。
相手が自分に合わせて短い文章や易しい表現で話してくれれば、まずます理解できます。しかし、人同士が話していることを理解すること(TOEIC Part3に相当)や、ある程度長い説明を聞いて、内容のあらすじを理解すること(TOEIC Part4に相当)は難しいレベルです。
文章の読み取りについては、平易な表現の短文であればおおむね理解できます。また、スコアが500に近づくと、ある程度長い文章であっても、やさしい表現のものであったり、自分がよく知っている分野のことであれば、大筋で理解できることが多くなってきます。
495-590(受験者の19.7%)
- 英検準2級から2級程度
- 高校大学までに習った単語・文法の知識がある程度身についている
- 多くの企業が、大卒新人に対してこれくらいは持っていてほしいと考えるレベル
- TOEIC対策をすると一気にスコアが伸びる場合が多い
このスコアレベルで出来ること
旅行や日常生活の単純な内容のコミュニケーションであれば、相手がゆっくり話したり、大事な部分を繰り返したりしてくれれば理解できるレベルですが、少し複雑な内容になったり慣れない中身だと、意思疎通に困ることも多くあります。
平易な表現の短文であればかなり理解でき、長い文章であっても、辞書を使うなどすれば理解できることが多くなります。しかし、新聞・専門的な文章を読むことは難しいです。
ろくにTOEICの準備をせずに受験してこれくらいのスコアを取った人ならば、適切な教材を選んで、2-3か月の期間に300-500時間程度準備して200以上スコアを伸ばす、というようなケースも結構出てくると思います。
500台のスコアは、企業が大学生に対して国際的な業務遂行に必要な英語力として持っていてほしいと考えるレベルに相当します。
595-690(受験者の19.4%)
- 英検準2級から2級程度
- 単語や文法的な知識では、基本的な部分をほとんど押さえている
- 簡易な内容の説明であれば、話の大筋を理解することができる
- TOEIC対策をすると一気にスコアが伸びる場合が多い
このスコアレベルで出来ること
相手にゆっくり話してもらうなどの配慮をしてもらえば、海外旅行や英語圏での日常生活に必要なやりとりはほぼ理解できます。業務上の簡単なやり取りが、相手の配慮があればある程度できるようになってきます。
ネット辞書などを活用しながらeメールのやり取りをすることも、時間はかかりますができるようになってきます。
このレベルの人には、学校で習うような単語や文法の理解はあるけれど、TOEICで出てくるような単語や言い回しの理解が不十分な面が多いです。そのため、大学入試では高い偏差値を取っていたような人でも、このレベルのスコアの人が多くいるでしょう。
TOEICの優良な問題集や単語集をやりこむことで、大幅なスコアアップができる可能性が高いスコアレンジです。
695-790(受験者の16.3%)
- 英検2級から準1級程度
- 英語の基礎力は十分で、国際業務や海外出張・海外駐在をこなしている人も多数いるレベル
- 留学検討者や、業務でリーダーシップや交渉力を求められる場合は、次のステップを目指す必要あり
このスコアレベルで出来ること
単語や文法についてはほぼ網羅的な知識があり、しっかりした基礎力があるレベルです。国際事業部門や海外オフィスに放り込まれても、やっていけるレベルです。TOEIC用の準備をほとんどせずにこのスコアが取れる人は、すでにビジネスで使えるレベルの英語の基礎が身についています。
社費留学を目指している人や、高校生大学生で将来的に留学を目指す人であれば、TOEFLやIELTSなどの受験を検討してよいレベルです。英語圏で作成された教材でも理解しながら学習することが可能です。
7割の企業が国際部門での仕事をしている社員に700以上のスコアを期待していますが、その中でも800以上、900以上を求める企業も多いです。
また、700台のスコアですと、国際的な業務を行っている企業であれば、周りに同程度のスコアを持っている人がたくさんいて差をつけることができていないケースも多いですから、800や900を目指すなど周囲と差別化するための対応を考えるのが望ましいでしょう。
795-890(受験者の11.1%)
- 英検2級から準1級程度
- 業務内容に関する会話やeメールのやり取り、書類の作成やチェックなどがほぼ問題なくできる
- 全受験者の上位約15%に入る、日本における英語エリート
このスコアレベルで出来ること
TOEICで学んだ単語や表現が、スピーキングやライティングにも生きてきます。業務内容に関する会話やeメールのやり取り、書類の作成やチェックなど、ほとんど問題なく英語を使えます。
全受験者の上位15%に入ります。日本における英語エリートと言ってよいレベルです。
大卒新人の足切りラインとしてTOEICスコアを提示している場合がありますが、ほぼ100%の企業の足切りラインを超えるレベルです。
895-990(受験者の4.4%)
- 英検準1級から1級程度
- 基本的な業務を英語でこなすことができ、交渉や議論のリードなど高度な業務を行う基礎がある
- スコアを上げることよりも、実戦で使える力を現場で身につけることの方が重要になってくる
このスコアレベルで出来ること
日常的な業務をこなすための英語力の土台は確実なものになっているレベルです。
海外出張や海外駐在を行うことや、英語での会議への参加、カンファレンスコール(電話会議)なども大きな問題なくこなせます。
業務上、交渉をしたり、議論をリードしたりなど、高度な業務を行うための基礎があり、実際の場面で経験を積むことでこれらの力が身についていきます。
自分の専門分野の本を理解すること、新聞や雑誌の理解もかなりスムーズにできます。
一方で、ノンネイティブとしては最高レベルではありますが、ネイティブとの間には依然として大きな差があります。例えば、Financial Timesなどの表現が難しめの雑誌や、ドキュメンタリー動画、映画などの英語を理解するのが難しい場合も依然として多くあります。このネイティブとの差を埋めるのには膨大な時間と労力が必要になります。
限られた時間で英語力を高めるためには、全ての分野で英語力を高めていこうとするよりも、自分の学業や仕事の分野で必要な部分に絞って学習していくよう方が望ましいです。
以上、TOEICスコアと英語力のまとめでした。目標設定や学習計画を立てるのに役立てていただければ幸いです。
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