TOEICの勉強時間:スコアアップに必要な時間の目安は?

職場での海外派遣や昇任試験、大学の受験などでTOEICスコアをアップさせたいと思っている人は多いと思います。

実際にどれくらいの時間がかかるものなのでしょうか。そして、その時間を短くするためにはどうしたらよいのでしょうか。

ここでは、Oxford University Pressが示している情報を見ながら、より短い時間でTOEICスコアアップを達成する方法をご紹介します。

 

1. 一定のスコアを取るまでに必要とされる時間の目安

下の表は三枝幸夫氏の研究をもとにして、Oxford University Pressが、「ラフな推定」と注釈を入れたうえで示した、目標スコア達成に要する学習時間です。

TOEICスコアアップのための概算所要時間(Oxford University Press, adapted from Saegusa(1985))

出典:Oxford University Press『A Teacher’s Guide to TOEIC? Listening and Reading Test』Saegusa (1985)より作成

ここで押さえておくべきポイントは2つ。

1. 平均的な人間が平均的な準備をした場合の推定の数字であって、自分が良い準備をした場合には、この数字よりかなり少ない時間で達成可能なこともあると考えるべき

2. 高いスコアになるほど、同じ点数をアップさせるのにも時間がかかるようになる

持ちスコアやそれまでの準備状況は人によって違います。

例えば、もともと準備が不十分で持ちスコア400-500だった人が100点上げるのに、この資料が言うように225時間かかるかといえば、そんなことはないでしょう。正しい準備をすれば225時間で200点アップというのもあり得ます。

一方で、TOEIC対策を万全にしてきた人がさらに100点あげようとすれば、300時間あっても足りないかもしれません。

自分の状況に応じて学習時間がどれくらいかかりそうか考えていく必要があります。

 

もう一つ重要な点は、高得点になるほどスコアが伸びなくなるという点です。

上の表では、持ちスコア450から550に上げるのには225時間、しかし、750から850に上げるのには275時間かかると推定しています。

これは、上のスコアになってくると、高難易度の問題を正解する必要がでてくることに関係しています。高難易度の問題でスコアを5点上げるのと、低難易度の問題で5点上げるのでは、必要な労力がだいぶ違うことが理由です。

基礎的な問題は、定型的な問題のプールの中から毎回多数の問題が出題されます。

高難易度問題は、膨大な問題プールの中から毎回少数の問題が出題されます。

したがって、満点近くを狙うのでないならば、基礎的な問題を押さえていく方が時間効率が良いです。

得点率で言うと、各Partで8割くらいの正解率を取れるようになったら、そのPartで点数を上げるよりも他の強化に取り組んだ方が良いです。

大学受験などの試験でも同様なのですが、TOEICは、基本的な語彙や文法を押さえて低難易度の問題を取りこぼさず得点することで、高得点を取ることが可能なテストです。

このような考え方をすることで、目標スコア達成にかかる所要時間を短縮します。

2. 学習時間を確保する

例えば、スコアを100点上げるために250時間の準備をすることに決めたとします。

仕事、学業、家事、人づきあいなど、様々なことで忙しい中から、その250時間をひねり出さなくてはなりません。何とか時間を作り出さなくてはなりません。

学習時間を確保する方法の例は以下の通りです。他にもいろいろと自分で工夫して時間を作り出したり、学習効率を上げるくふうをすることがTOEIC受験の面白さでもあるので、ご自分で考えてみてください。

1. 学習期間中は、仕事や日常生活の所要時間を短くするよう時間管理する。

2. 移動時間や休憩時間などにできる学習を組み込む。

3. テレビ・スマホなど、気を散らすものの電源を切る。(これらは学習時間を少しずつ削ります)

4. 静かに学習できる図書館などの学習場所を確保する。(移動時間の長短も考慮して場所を決める)

3. 意図的に短期間集中で取り組み、所要学習時間を短くする(集中的に取り組むことで得られる効果を狙う)

人間は、覚えたことは時間が経つと忘れてしまいます。

単語や文法なども忘れますが、攻略法や学習の仕方そのものも忘れてしまいます。

こうしたことが、学習の効率を下げ、最終的に取得するスコアを下げてしまいます。

ですから、もし、時間を有効に使いたい、TOEICの準備にかける時間を短くしたい、と思うのであれば、短期間により多くの時間をかけるようにしてください。

例えば、1日2時間、1年かけて約700時間学習するよりも、1日5時間、3か月で450時間学習する方が時間効率が良く、かつ、多くの場合は取得するスコアも高くなるだろうと思います。

置かれた状況によって、確保できる時間は違うでしょうが、できるだけ短期間に、できるだけ長い時間学習する、これが攻略法の一つです。

4. 参考書の選び方で、所要学習時間を短くする(単位時間当たりの習得量を増やす)

問題集を選ぶときは、学習を効率的にするために以下に挙げるポイントで評価して決めます。

1. 問題がTOEICの出題内容に近い。

2. なぜその選択肢が正解なのか、明解な解説がある。

3. 次に同様の問題が出た場合に正解できるように、その問題の文法ポイントや語彙について解説がある。

4. 正解以外の選択肢についても、なぜ不正解なのか、どのような場合にその選択肢が正解になるか、などの解説がある。

両問題集として紹介されているもののほとんどは、1.2.は満たしていますが、3.まで満たしているものはそんなに多くないです。また、4.まで満たしているものはほとんどありません。

3.4.を満たしていれば、一問解くごとに得られる知識が多くって学習効率が上がりますから、スコアアップに要する時間は短くなる計算になります。

さいごに

良質の教材があり、学習できる場所もわりと豊富にある状況の中で、一番難しいのが学習時間の確保、という人も多いのではないでしょうか。

日々の生活から時間をつくり出し、それを有効に使うことで、より短期間で英語力を伸ばして、これからの仕事や生活に役立てていただければと思います。

応援しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です