TOEICが英語力を測るテストであることはご存知かと思いますが、ここではTOEICの特徴と性質について、深めて考えて攻略に役立てたいと思います。
もくじ
TOEICの特徴・性質
TOEICはビジネス英語のテストである。
TOEICはビジネス英語のテストです。
そのため、TOEICの対策で学ぶ単語・表現・文章は、ビジネスに用いる英語であることが望ましいです。
ただし注意しなければいけないのは、ビジネス英語の中でもTOEICでよく用いられる単語・表現がある、ということです。
そのため、TOEIC対策に特化した良質な単語集や問題集を用いるのが短期間で高いスコアを取るために重要です。
TOEICは時間管理能力を必要とするテストである。
TOEIC受験に際しては、様々な面で時間を管理する能力が求められます。
そもそも、TOEICを受験しようとする人は、通常業務に追われていて時間がない、受験のために他の科目の学習もする必要がある、家事で忙しい、など、何らかの形で時間が限られている環境にあります。そのため、空き時間・隙間時間を有効に活用することが大事です。
また、問題と解答時間に目を向けると、TOEICは大学受験や他の一般的な資格試験に比べて、解くべき問題の数量に対して時間が短めに設定されています。そのため、いかに、短い時間で、正確に、多く、解答するかが重要になります。
具体的には以下の4点が時間管理の面で大事なポイントです。
- 他にもやることがあるなか、学習時間を確保することができるか。
- どの学習に、どの時間を、どのくらい使うのか、効率性を考えて決めることができるか。
- 問題には難易度の差があることを理解し、解けない問題は諦め、他の難易度の低い問題を解く時間を確保することができるか。
- 各Partや問題一問を解くのに、どれくらい時間をかけるべきか、現在どれくらいの時間をかけているか、を把握して、目標に向かって改善することができるか。
TOEICで約800程度以上のスコアを取れば、海外留学、英語を用いた業務、外国での生活をする上での基礎が身につく。
周りを見回すと、TOEICで800以上持っている人で、英語を使った業務、海外生活、留学などで困っている人を見かけたことはありません。世界に飛び出していくのに必要な語学面の力の基礎を確実に得られます。
TOEICスコアと英語力の関係についてはこちらの記事で確認できます。
日本で第一外国語として英語を学習してきた人にとって、TOEICが学習しやすい3つの理由。
3つの理由は以下の通りです。
- TOEICの試験内容は、リスニングとリーディング(インプット系)で構成されており、日本での英語教育であまり力が入れられていないスピーキング、ライティング(アウトプット系)がないから。
- 問題形式や試験の実施形式が、高校受験・大学受験など日本人が経験したことがあるテストに近いから。
- TOEFLやIELTSといった他の英語能力試験に比べて、日本語で出版された優良な参考書が豊富にあるから。
TOEFLやIELTSといった英語試験の学習をしたことがある方ならご経験があるかと思いますが、TOEFL、IELTSを受験しようとした場合、優良な参考書を探すのが大変です。
英語で書かれた参考書を使用しなくてはならないために、記述されている内容が十分に理解できないこともありますし、中には、問題に対する解答に誤りがある参考書も少なくありません。私はTOEFL、IELTSの参考書を入手して間違いが沢山ある参考書を発見したことが何度かあります(それらの参考書のユーザー評価は高かったので驚きました)。
以上を総合すると、
TOEICは、
- ビジネスで使う英語力を高めたい方や、将来の、留学、英語を使った業務、海外生活のために英語力を高めたい方向けのテストである。
- 日本で英語を第一外国語として学んできた人にとって、試験の内容がマッチしたテストであり、優良な教材が豊富にあって学習しやすい。
- スコアを上げるために時間管理能力を発揮することが重要なテストである。
ということがいえます。
日本で英語教育を受けたTOEIC受験者の一般的な傾向
日本で英語教育を受けて来たTOEIC受験者の一般的な傾向として、以下の4点があげられます。
- TOEICのリスニングのスピードがとても速く感じられる
- リーディング問題の最後まで時間内に解答することができない
- 高校受験・大学受験などを通じて英単語を身につけたが、TOEICで頻出する単語には不慣れである
- TOEICのテスト形式に不慣れである
これらは全て正しい対策を講じることでクリアできる問題です。
そして、1-2か月の間300-500時間程度かけて対策を講じることで、現在350-600程度のスコアをお持ちの方は、200以上はスコアをあげることができるでしょう。
TOEIC対策塾などが、受講者が200点以上スコアアップしたことをアピールしている広告をネットや電車内などでよく見かけますが、あれは正しい対策をとれば実現できることです。
大事なことは、それをどれくらい短い時間で達成できるか、テキストや塾などにかける費用をどれだけ抑えて実現できるかです。
リスニングとリーディングの両方のスコアを効率的に上げるための方法
TOEICテストの特徴を踏まえたうえでの主な戦略は以下の2点です。
1. TOEICで使われる単語・言い回し・文法を習得する。
2. 問題を解く時間を管理する。
TOEICで使われる単語・言い回し・文法を習得する。
TOEICでよく使われる英単語の習得
TOEICでよく使われる英単語≠ビジネス英単語 であることを理解する必要があります。そのため、TOEICでよく出る単語を集めた単語集を使うことをおすすめします。
ここで教材を選ぶ際の注意点が二つあります。
一つは、学習する単語の別の品詞と類義語を同時に学ぶことができる単語帳を選ぶことです。TOEICでは、paraphrasing(同一内容の言い換え)や別の品詞での言い換えが頻繁に行われます。
別品詞による言い回しの例:
She analyzed customer feedback. Our sales team discussed her analysis. ”彼女は顧客の意見を分析した。私たちセールスチームは彼女の分析を精査した。”
例の場合、analysis, analyzeの両方の単語が分かっていればスムーズに理解できるよう文章が構成されています。
paraphrasing(言い換え)の例:
The company announced it is opening a new automobile manufacturing plant.
”その企業は、新しい自動車工場を開くことを発表した。”
↓
The press release was about the planned opening of a new car factory.
”その報道発表は、新しい自動車工場を開くことについてだった。”
例の場合、announced と press release、automobile manufacturing plant と new car factory が言い換えの表現として使われています。
もう一つは、TOEICでよく使われる言い回しとともに単語を学習できる単語本を使うことです。そうすることで、TOEICの単語、TOEIC的な表現を一石二鳥で覚えることができます。TOEIC対策をしていてよく出くわす状況として、単語は知っているけれど、これまで習ったことがある意味・文脈とは違う使い方がされているため理解できない、ということがありますが、使う単語帳によってTOEICに対応した単語と言い回しを覚えていきます。
最適な単語集:「TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ」TEX加藤 著
特長:TOEICの問題に頻出の単語を厳選している。アプリで音声を再生することができる。音声の速度を調整することができる。
最適な問題集:「TOEIC公式問題集 新形式問題対応編」、「TOEIC公式問題集 No.6」一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会 著
問題を解く時間を管理する。
これにはいくつかの要素があります。
- 1. 1問あたりにかかる時間を短くする。
- 2. リスニングパートでは、問題の説明の時間を使って問題の先読みをする。
- 3. リーディングでは、Part5,6を短時間で終わらせPart7の時間を確保する。
- 4. わからない問題を捨て、正答できる問題を解く時間を確保する。
これを実現するための具体的な方法について、別の記事で詳しく解説します。
目標スコアに関する考え方
目標スコアに関する基本的な考え方
一般的に、就職や社内での昇任に有利になる目安となるのが700、800、900程度とされています。現在、受験や昇任試験のために具体的な目標ラインが明らかでない人は、自分の持ちスコアと、一般的な目安を参考に目標スコアを決めるといいと思います。就職希望先や勤務先から具体的な目標スコアを示されている場合は、それにそって目標を定めるといいでしょう。
ここで一つ大事なことは、目標を最低ラインに決めないようにすることです。例えば、昇任試験でTOEIC800保持を条件に定めている会社があるとしたら、あなたのTOEIC受験の目標を「800以上」と決めるのは望ましくありません。それは、あなたが仮にTOEIC810を取ったとすると、それは昇任試験を受ける人たちの中で最低クラスの英語力しかないとランク付けされてしまうからです。足切りラインを大きく超えるスコアを目標に定めることをおすすめします。
目標スコアの目安
①職場や受験先から具体的なスコアを提示されている人
提示された目標スコア+50ないし+100程度
②具体的な目標スコアの提示を受けていない人
職場や受験する大学などから具体的なスコアの提示を受けていない場合は、持ちスコアが350-600点程度の人であれば、1-2か月の準備期間で、現在のスコアより150-250程度上かそれ以上が妥当だと思います。600以上持っている人は800‐900程度を目標ラインにするのが妥当だと思います。TOEIC専用の対策をしていない状態で600を取れた場合は、すでに、正しい準備をすればTOEIC800を取る実力はあると考えてよいと思います。
目標達成期限に関する考え方
具体的な期限を決める
目標スコアが決まったら、それを達成する期限を定めることを具体的に定めることをおすすめします。
目標を決めて、期限を区切ることによって、それに向けて努力するモチベーションを保ちやすくなるからです。
コツ:期限は長くしないこと(1-3か月を推奨)
人間は一度覚えたことも時間が経つと忘れてしまいます。
ダラダラと長い期間学習するよりも、短い期間に集中的に学習する方が一気に知識・能力を定着させることができると考えてください。
スコアを大きくアップさせるためには、本気で取り組むことが必要です。そして、本気で取り組んだ場合、結構心身に負荷がかかります。その期間はあまり長くない方がいいです。
パッと準備して、目標スコアをサッと取って、TOEICに関する取り組みは終了させて、次のステージに進まれることをおすすめします。
目標スコア・達成期限を決めたら、それを目立つ場所に掲示する。家族や友人に自分が目標を決めて取り組んでいることを知らせる。
掲示するのは、自分がいつでも現在取り組んでいることを意識できるようにするためです。
家族や友人に知らせるのは、目標達成のために協力してもらうことや、いい意味でのプレッシャーをかけてもらうことを目的としています。
自分のパートナーや友人に、学習時間の確保や学習環境の改善のために協力をしてほしい場合があるかもしれません。学習せず遊んでしまっているときに声がけしてもらう必要があるかもしれません。
そういったことを家族や友人に依頼することが有効な場合がありますので検討してみてください。
スコアを伸ばすための考え方
難易度の低い問題をほぼ完全制覇することで高得点を目指す
TOEICには900点以上取る受験者でも高い確率で間違えるような高難易度の問題が、5-10%ほど含まれています。
それを考慮して得点プランを立てます。
ここで仮に、問題の難易度別の割合が以下だとしましょう。
難易度低-中:90%(180問) 中学から高校程度の英語力で正答可能な問題
難易度高 :10%(20問) 900点以上取る受験者でも高い確率で間違えるような高難易度の問題
例えば現在の持ちスコア600で、これから800点を目指す場合、
おおむね160/200問以上の正答を目指すことになりますが、
問題数200問のうち以下のような正答数を取る計画を立てます。
難易度低-中 正答率90%
正答数 162 (180×90%)
難易度高 正答率20%
正答数 4 (20×20%)
トータルの正答数 162 + 4 = 166
※20問は高難易度の問題ですので、上級者意外であれば、まれに正答できることがありますがほぼ間違えます。高難易度の問題を正答できる知識があるケースと、選択式解答のまぐれ当たりを考慮して正答率20%とします。
以上で800を超える、というようなプランです。
細かい得点システムは公開されていませんが、TOEICは正答数ほぼ比例してスコアが決まるテストとみてよいと思います。
高難易度の問題に対して、低難易度の問題の2倍の点数が与えられるようなことはないでしょう。
高難易度の問題は、たくさんある高難易度問題の中から、一回のテストについて数問出題されます。
→正答率を上げるのに大変な時間がかかります。20問程度しか出題されません。
低難易度の問題は、数少ない基礎的重要事項が、形が多少変わっても毎回のように多数出題されます。
→基礎的事項を押さえることで正答率を一気に上げることができます。180問程度出題されます。
高難易度の問題で一問正答するのと、低難易度の問題で一問正答するのでは、その学習のためにかかる時間が圧倒的に違います。
しかし、一問正答で得られるスコアは同等です。
どちらに時間を割けばよいかは明らかです。
上記に関連して、TOEICにおいては自分にとって正答できない難易度の高い問題をいかに短時間で捨てるかが重要になります。具体的な捨て方については、各パートの戦略で説明しています。
得点プラン
得意Partで90-100%正解するよりも、複数のPartでまんべんなく正答率をあげる方が時間効率がよい
各Partでの得点Planに関する話です。
学習を開始すると、学習したPartでの正答率が上がってきます。
達成度を測るために公式問題集でセルフ模試をして、正答数が上がっていることを確認できるのですが、
70%-80%くらいまでは順調に正答数が上がりますが、それが80-90%にになると段々に学習している割にはスコアが上がりづらくなってきます。
これは前に述べたように、TOEICには難易度の高い問題が一定割合含まれているため、それに正答するのが難しいためです。このような高難易度の問題に正答するためには、難易度が低めの問題に正答するために要する学習時間の少なくとも数倍は学習時間がかかることを念頭に置く必要があります。
そのため、効率的に正答率を上げるには、例を挙げると、いくつかのPartで90%の高い点数、いくつかのPartで50%を取ってトータル70%とするよりも、全てのPartで70%を取ってトータル70%の正答率にする方が時間効率は良いです。
例えば、Part5・6の学習を集中的にして、正答率が80%に上がってきたとします。
その場合、すでにPart5・6の集中学習で正答率を上げるよりも、他のPartの学習を集中的に行い、Part5・6の学習は得点率を落とさないように定期的に行っていく、というような時間配分をした方が効率的だということになります。
以上の点を考慮に入れて、各Partの学習を進めると時間効率よくスコアアップさせることができます。
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