金のフレーズレビュー:公式ボキャブラリーブックと徹底比較!




TOEICの単語帳として圧倒的な支持を得ているTOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズですが、2019年6月にTOEICの運営主体であるETSから新しい単語帳「公式ボキャブラリーブック」が発売されました。

これから単語帳を買おうとしている人には、どちらを選んだらいいか悩んでいる人も多いと思います。

ENABLEでは金のフレーズを改めて独自に解析し、公式ボキャブラリーブックと比較しながら、TOEIC用単語帳としてファーストチョイスであり続けるかレビューします。

出る単特急 金のフレーズ

対象 TOEIC500相当以上-上級
収録単語数 見出し1000単語
収録方法 4段階の目標スコア順
著者 TEX加藤
単語の質 ★★★★★(5/5)
例文の質 ★★★★★(5/5)
出題情報 ★★★★★(5/5)
おすすめ度 ★★★★★(5/5)
価格 961円(税込)
発音記号 あり

kin-no-phrases

TOEIC講師であるTEX加藤氏が書いた本で、販売累計100万部を超えるベストセラーです。

TEX加藤さんは、本の中にも記載がある通り2008年6月からTOEICを受け続けて、受験回数が80回を超えており、2016年の新形式移行後も2017年時点で7回全て受験しています(990点取得)。

TEX加藤さんのすごいところは自分が受験して得た生きた知識を読者に伝える情熱と技術です。990取っている人でも、この点が大したことないと優良な本は書けません。

著者は、受験後は毎回試験会場の近くのカフェなどで出題された単語などをメモして蓄積し、それを余すことなくこの単語集に反映しています。

1. 金のフレーズの内容と特長

1.1 習得単語数は、見出し単語数1000をはるかに超える

TEX加藤氏が、毎回の受験で得た情報を反映して作ったもので、とにかくよく出ます。

こちらで行ったTOEICの公式問題集や公式ボキャブラリーブックのデータとの比較調査でも、TOEICで頻出の単語が収録されていることがわかっています。

単語レベルは、make、level、collectなどといった、TOEICで頻出の単語のなかで受験者が知っていそうな基礎的なものは収録せず、そのワンランク上の単語から上級の単語までを収録していて、一つの単語に対して類義語や対義語の記載があります。

例を挙げると、goal, targetは見出し語としては出ていませんが、見出し語としてobjective(目的)が収録されている、そして、goal, targetは、objectiveの類義語で収録されている、という感じです。

このようにして、見出しにない基本的な語も、類義語・対義語として、また、例文の中で習得できるようになっています。

また、出題される際の使われ方も複数提示されています。(例:degree=学位、程度、(温度や確度の単位の)度)

このような作りなので、見出し単語数を1000と少なめに抑えながら、スコアアップに十分な量の単語・フレーズ・用法を収録しています。当方の測定では、頻出単語・表現が少なくとも2000は収録されています。

また、単語によっては、よく出題されるPartや出題のされ方も示されています。

1.2 基礎から順にレベル別に単語が収録されている

目標点数ごとに単語が収録されています。

  • 600点レベル 400語
  • 730点レベル 300語
  • 860点レベル 200語
  • 990点レベル 100語

初級者は600点レベルから学習する、上級者は730点以上の部分を中心に復習する、など、個々のレベルによって学習する箇所を調整できる構成です。

1.3 スコアアップに直結する特集ページがある

章の間にTOEICスコアが上がる特集がはさみ込まれています。

  • Part1重要語100
  • 注意すべき(間違いやすい)日常単語
  • 前置詞接続詞接続副詞
  • 多義語
  • 定型表現

TOEICを受ける人にとって、スコアアップに直結する情報が詰め込まれています。

1.4 TOEICの出題傾向の情報が入っている

単語の解説の中に、TOEICの出題傾向についてのコメントが出ていて、これがかなり役に立ちます。

TOEICの世界では書類を紛失する社員が時々登場するけれども上司に叱責されることはない、など、出題傾向がわかるだけでなく、選択肢を選ぶ際にも参考になりそうな情報がいたるところにちりばめられています。

最近の出題傾向の変化についての情報も入っています。例えば、環境に関する単語のところで、TOEICの世界でも最近環境に関する出題が増えている、という情報があります。

TOEIC初心者にとっても、ある程度経験があって最近の出題傾向を知りたい人にとっても役立つ内容が満載です。

学習を進めるほどに、単語やフレーズを覚えるだけでなく、TOEICの出題内容を理解していくので、スコアがより上がりやすくなります。

1.5 金のフレーズの弱点

日本語を見て英単語を答える(覚える)という形式をとっていて、英語を見て日本語を覚える形式ではない、ことが弱点です。

英語で読み聞きして答えるTOEICの学習方法として適していないと考える人もいるかもしれません。

私も基本的に英語を見て学習する方ですので、この単語帳は学習しづらいのではないかと思っていました。

しかし、この単語帳を使ってみると、特にその点で問題を感じませんでした。

また、アプリからダウンロードできる無料音声では、英語が初めに収録されていますし、英語のみが収録されたものもあります。

収録音声の例

  • 英+日:Anyway→とにかくやってみよう→Let’s try anyway.
  • 英のみ:Anyway→Let’s try anyway.

これを使えば、英→日で覚えることも可能です。

以上まとめると、この本を使って得られるメリットに比べると、日本語→英語でしか学習できない、という弱点は無視していいほど小さいと考えていいと思います。

2. 公式ボキャブラリーブックの内容と特長

対象 初級からTOEIC600
収録単語数 見出し1000単語
収録方法 アルファベット順
著者 ETS
単語の質 ★★★☆☆(3/5)
例文の質 ★★★★★(5/5)
出題情報 ★☆☆☆☆(1/5)
おすすめ度 ★★★☆☆(3/5)
価格 1512円(税込)
発音記号 あり

koushiki-voca-book

2019年6月にリリースされた、TOEICを作成しているETSが出す単語帳です。

本屋での売り上げランキングを見ると売れ行きは好調の様子です。近所の本屋では棚に大量に置かれていました。

公式のものだと買っておいた方がいいかな?と反射的に思うのが受験者の心理なので、金のフレーズとどちらを買うべきか迷った方も多いのではないでしょうか。

2.1 TOEICによく出る単語、出題されたままの形の例文が収録

出題者が作っている単語帳なので、よく出題される単語が収録されています。

そして、本書の最大の特長は、TOEICに出題された文章から例文が作られていることです。

これは他の単語帳や参考書がなかなかマネできないところです。

TOEICで出題される文章に慣れたいという人にとっては、この単語集が適しています。

ただし、出題される文章に慣れることは公式問題集で十分、という人にとっては、単語帳と模試の組み合わせは、金のフレーズ+公式問題集で良いです。

2.2 アルファベット順で収録

この単語帳では、出題頻度の高い単語が収録されています。しかし、それが出題頻度や重要度別に分けられてはおらず、アルファベット順で収録されています。

使う人が、レベルに応じて取り組む箇所を決める、というような使い方ができない作りになっています。

2.3 基本的に単語に対して1つの訳語、解説は少なめ

学校で習った単語の意味と別の意味があって、それを分かっていないと正解できないことがあるのがTOEICです。

しかし、この単語帳では1単語に対して1つの訳語が基本になっています。

また、解説欄に、類義語、対義語、その単語がどのように出題されているか、試験に出やすいトピックなど、TOEICのスコアアップに役立つ情報が少なく、余白が目立ちます。

もっと主催者だからこそ入れられる情報を詰め込んでほしいな、と思います。

2.4 特集ページは、複合名詞集、ハイフン付き形容詞集

名詞の部分の最後に複合名詞集、形容詞の部分の後にはハイフン付きの形容詞集があります。

これまでは、公式問題集などで出てくるたびに解答・解説のところで意味が説明されているのを確認するけれど、まとめて学習することはなかったのではないでしょうか。

このような付録は、とても貴重です。

3. 金のフレーズの使い方

ここまで見てきたように、公式ボキャプラリーブックが発売された後でも、依然として金のフレーズがTOEIC対策の単語帳のファーストチョイスとして健在です。

ここからは金のフレーズの効果的な使い方を説明します。

3.1 初級者は銀のフレーズから始める方がよい

金のフレーズは英語力がTOEIC500レベル以上の人用に設計されています。

TOEICで500を取れていなくても、ある程度の英語力があれば、金のフレーズから始めるのが近道になると考えて間違いないです。

自分が金のフレーズで学習するのに適しているか不安な方は、下に挙げる単語で単語力を測ってみてください。

これらのうち、分からない単語が半分くらいある場合は、金のフレーズの姉妹品で、初級レベルの単語から学習できる「銀のフレーズ」から始めた方がスムーズに学習できると思います。

agree (賛成する) become (~になる)
certain (確かな) choose (選ぶ)
discuss (話し合う) fact (事実)
interview (面接・面接する) library (図書館)
material (材料) personal (個人の)
possible (可能な) quality (質)
reply (返事をする) sign (サインする、看板)
succeed (成功する) task (タスク)
visitor (訪問者) workshop (研修会)

gin-no-phrases

3.2 テンポよく学習を進める

単語学習はテンポよく進めることが学習効率アップのために大事です。

なかなか覚えられない単語も出てくると思いますが、理解が100%でなくても、単語数を一定程度こなせる学習ペースを守るようにします。

3.3 何度も周回して覚える

覚えきっていない単語にはマークを付け、テストまでの期間に何周か回してわからない単語を習得していきます。

3.4 1単語20秒で進めると6時間で一冊終わる

見出し単語数は1000ですので、単純計算すると、一単語20秒で進めれば約5時間30分で一冊終わる計算です。章の間の特集ページも含めれば、6時間程度で一周します。

1日1時間で回せば、約一週間で頻出の単語約2000(見出し語以外含む)を学習でき、試験までの間に数週できるでしょう。

通勤通学時間など隙間時間を使って学習しながら、文法問題集や模試を他の時間にこなすスケジュールを組むことで学習効果が高まります。

3.5 簡単な章から学習を進める

すでにTOEIC730以上持っているような人でも、目標600の章から確認していくことが大事です。

語学試験は、基本的な語彙が何度も使用され、出てくる単語のほとんどを簡単な単語が占めています。TOEICも例外ではありません。

基礎的な部分から順に学習していくことが効率的なスコアアップにつながります

私は、主にTOEICスコア730目標の教材と公式問題集を使って、2か月で500点台から950点に上げました。

基礎を固めてスコアアップを目指しましょう。

3.6 アプリで音声を無料ダウンロードして復習する

Android Playストア かiphone App Storeで「abceed analytics」というアプリをダウンロードすると、音声データを無料でダウンロードできます。

一度本で学習したことを、隙間時間に音声で聞いて復習するなどして使うのがオススメです。

本よりおよそ200円安く、720円でアプリを買うことができます。

本のようにメモをしたり付箋をつけたりして使うことはできませんが、すでに理解した単語の割合を確認しながら学習することができます。

Android Playストア かiphone App Storeで「abceed analytics」で検索してみてください。

まとめ

  • 公式ボキャブラリーブックが出た今でも、金のフレーズがTOEIC単語帳のファーストチョイス
  • 金のフレーズは短期間でTOEICの頻出単語2000程度以上を習得できる

金のフレーズは依然としてTOEIC最強単語帳です。効率的に学習できる金フレで、TOEICを短期間で攻略しましょう!



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です